健康一口メモ(山本クリニック新聞より)
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- 脳の病気ー急いで医者にかけつけなければいけない時
- 急にフーとなった時
- 頭痛の真犯人
- 慢性頭痛の原因
- 新しい片頭痛のお薬
- 片頭痛のお薬
- 頭の神経痛
- 顔面神経痛と三叉神経痛
- 三叉神経痛
- 神経痛のお薬
- 治るボケもある?
- 抗酸化物を含んだ食品を食べて脳の老化を予防する
- 魚を食べて脳を活性化し、血液をサラサラ状態にして血栓を防ぐ
- 脳梗塞の予防
- 本態性振戦
- ドケルバン病とバネ指
- 睡眠時無呼吸症侯群
- 帯状包疹(いわゆるヘルペス)
- 年配の方の高血圧
- 高血圧に関するQ&A
- 話題の食品
- 脂肪肝と中性脂肪
- アルツハイマー病の予防
- 風邪とインフルエンザ
- 狭心症
- 慢性閉塞性肺疾患COPDを防ぐ
- 低血圧にご注意
- 心配なめまい
- 血液サラサラ
- コエンザイムQ
- ぎっくり腰
- 慢性硬膜下血腫
- 血圧の話
- 認知症の話題
- 脂肪肝
- ヘルペスにご注意!
- 認知症の初期症状
- コラーゲンで膝痛は治るか?
- 脳梗塞の前ぶれ
脳の病気ー急いで医者にかけつけなければいけない時
「急に意識を失って倒れた」などと言う時、どなたも「脳卒中かもしれん。これはいかん」と言うことで救急車を呼んだりします、一見たいしたことがないように見える症状の場合でも、脳の病気の始りであることがあります。軽いからと言って様子を見ていたり、放っておいたりすると大変なことになったり、手遅れになったりすることもあるのです。特に注意しなければならない症状とは、次のようなものです。
☆突然に起こった頭痛
それまでどうもなかったのに急に頭が痛くなったと言う時は、くも膜下出血が疑われます。しばしば「風邪を引いたせい」、「血圧が高いせい」、あるいは「いつもの頭痛だろう」などと間違えられてしまいます。普段から頭痛もちの方でも、いつもの頭痛と違う頭痛が突然に起こった時には、すぐに専門医の診察を受けた方が良いでしょう。 なお、急に片方のマブタが下がったと言う症状は、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤が原因で起こる場合があります。
☆突然に起こった半身の麻痺やしびれ
急に「片方の手足に力が入らなくなった」とか、「しびれた」とか言う時は脳梗塞の疑いがあります。それ以外に「ろれつが回らない」と言う症状もよくみられます。麻痺が軽い時は、それに気付かない時もありますが、例えば手の場合は、「食事中にハシを落とす」、「茶碗を落とす」、「字がうまくかけない」、足の場合、「歩く時、片方の足を引きずる」、「つまずく」、「スリッパがぬげる」、「片側へ傾いてゆく」などと言う症状で気付かれます。それ以外に「鏡を見たら顔がゆがんでいた」、「ろれつが回らない」、「言いたいことが言葉になって出てこない」、「物が二重に見えた」などと言う症状も良くみられます。脳梗塞は夜寝ている間に起こることが多く、そのため脳梗塞を起こした患者さんの60〜70%は、「朝起き た後に様子がおかしい」ことに気付きます。そこで、朝起きた時におかしな症状に気付いたと言うような時は、特に要注意です。
なお、「突然に片方の目が真っ暗になった」と言う症状は一過性黒内障と言って、手足の力が一時的に抜けたりしびれたりする一過性脳虚血発作と同じく脳梗塞の前ぶれと言われます。たいてい10分位で治ってしまうので、ああ良かったと安心してしまう方が多いのですが、繰り返しているうちに本物の脳梗塞になってしまうことが多いのです。
また「ある朝目を覚ましたら、激しいめまいがした」と言う症状も、急激に発症していること、朝に出現していることなどから脳梗塞が疑われます。
急にフーとなった時
急にフーとなった。フラフラとした。頭がクラクラとしたと言うような症状は、脳の血液の流れが悪くなって起こることが多く、すぐに治ったからと言って安心は出来ません。なぜなら、このような症状は、脳の酸欠(酸素欠乏、酸素の足りない状態)から起こることが多く、脳梗塞の前ぶれかもしれないからです。特に暑い夏に起こった時には、要注意。汗をたくさんかくせいで、体内が脱水状態となりやすく、血液がドロドロになって、脳の血液の流れが悪くなることが多いからです。
夏は脳梗塞の多発する季節。のどが渇いたと感じた時、血管内は、すでに水分が足りない状態になっています。のどが渇く前、つまり普段から、水分補給を怠ってはいけません。年配の方は、炎天下に出ないようにして、歩いたりするような運動は、朝の涼しいうちに行いましょう。汗の中には、多量の電解質が含まれています。たくさん汗をかいた時の、水分補給には、同時に電解質を補う意味からスポーツドリンクがよいでしょう。一方、ひどく汗をかいたわけでもないのに、スポーツドリンクをたくさん飲みますと、電解質、すなわち塩分のとりすぎになったりしてもいけません。暑い時期の普段の水分補給なら、お茶やミネラルウオーターがよいと思います。
頭痛の真犯人
頭痛は、しばしば「血圧や風邪のせい」にされることが多いようです。例えば、頭が痛い時に血圧を測って、たまたま血圧が高ければ「血圧が高いせいだろう」と考えてしまいがちです。しかし一般に血圧と頭痛とは無関係で、たとえ血圧が高くても、そのせいで頭が痛むことはまずありません。また、頭が痛いと、「風邪でもひいたのかな?」と考える方も多いようです。しかし風邪と言うのは、ウィルスによる急性上気道感染で、のどや鼻の痛みもなく、咳も痰も出なくて、症状が頭痛だけと言うような風邪はありませんし、たとえ風邪をひいておられるとしても、発熱もないような風邪で頭が痛むことも、まずありません。
もちろん血圧が高いのを治療しないで放っておいた場合、近い将来、脳や心臓の重い病気を引き起こしてくる可能性が高いことは事実です。また「風邪は万病のもと」とも言われるように、普段から、かからないように予防しておくことが大切ですし、また、かかってしまったなら早目に治療しないといけません。つまり高血圧や風邪は普段は「悪者」には違いないのですが、こと頭痛に関しては、「血圧や風邪」は、その「犯人」ではなくて「無実」なのです。
多くはありませんが、頭痛は命にかかわるような病気によって起こる場合があります。一番の問題は、そのような頭痛を「血圧や風邪のせい」と考えてしまい、しばらく様子を見ているうちに、手遅れになってしまうと言うようなことが、現実に、しばしば起こっていることです。つまり、早く「真犯人」を探し出して治療しなければいけない場合があります。
最も注意が必要な頭痛とは、脳卒中によって起こるもの、なかでも「くも膜下出血」によるものです。このような「危険な頭痛」は、そうとは知らずに何もしないで様子をみていますと、命にかかわることが多いのです。この「くも膜下出血」の頭痛の特徴は、頭痛が「突然に」起こることです。すなわち、それまでどうもなかったのに急に、「何かに当たったように」、あるいは、「何かで殴られたように」、ガーンと痛くなります。そのような場合には、たとえ夜中に痛くなった時でも、朝まで様子を見てはいけません。すぐに医師に相談する必要があります。
慢性頭痛の原因
世の中で、慢性の頭痛を訴える人は少なくありませんが、その原因のうちの80%は筋収縮性頭痛(緊張型頭痛)と呼ばれるものです。このタイプの頭痛は長時間うつむいた状態で仕事や勉強をする人によくみられます。うつむいていると首の筋肉が収縮して固くなり、その結果、筋肉の中の血液の流れが悪くなって、頭の後から痛みが始ります。特に頭の重さの割に首が細長い方では、頭をささえる首の後の筋肉に常に負担がかかりやすいので、このタイプの頭痛がしばしば起こります。この型の頭痛を訴える患者さんの2/3は女性、なかでも「首がほっそりとした゛なで肩゛の美人タイプ」に多いのです。
「肩こり」もやはり゛なで肩゛の女性に多いようです。これは゛なで肩゛の方では腕の重さをささえる僧帽筋に常に負担がかかりやすいからです。僧帽筋は後頭部のところから、首、肩、背中にかけてついている大きな筋肉で、腕を吊り上げるのが大きな役目のひとつになっています。腕をブラ下げていると肩の筋肉に負担がかかりますが、常に筋肉が収縮していることになるため、血流が悪くなって肩こりが起こってくるのです。
新しい片頭痛のお薬
片頭痛で困っておられる方は全人口の5〜6%にものぼり、実際、高血圧の方より多いと言われます。片頭痛とは、頭痛発作を起こす体質的な病気で、痛みの原因は頭の表面を走っている動脈(頭の中ではなく、頭の骨の外です。)がひろがって、その動脈の壁がひっぱられて痛むことによります。そのため、脈に一致してズキンズキンと痛むのが特徴で、発作中に、しばしば吐き気や嘔吐を伴います。この頭痛はいつもではなくて、時々、発作的に起こるのが特徴で、平均、1ケ月に2〜6回の発作を起こす方が多いようです。そして、いったん頭痛がおきると数時間から2日くらい続きます。
ところで、片頭痛を「頭の半分が痛む病気」と思っておられる方が多いようですが、これは必ずしも正しくありません。確かに、片頭痛は片側に出ることが多い(60%)のですが、両側が痛む場合(40%)も結構あります。頭痛もちの方が、「頭の半分が痛んでいる」から自分は片頭痛だとおっしゃっている場合がよくあります。しかし、よく聞いてみますと、脈を打つ頭痛ではなくて、頭の筋肉がこって痛む緊張型頭痛であることも多いようです。また片頭痛は30歳までに発病することが多く、30歳以降では急に発病が減って、結局、95%くらいは若い時期に発病します。逆に言えば40歳以上で初めて片頭痛が発病する可能性は低いので、このような場合は別の病気を考えなければいけません。
片頭痛の発作には、一般の頭痛薬は効果が少なく、ひろがった動脈を元に戻す酒石酸エルゴタミンと言う頓服のお薬がこれまで使われてきました。しかし、このお薬は頭痛の起こりかけの時期に飲まないと効果がないと言う欠点があり、また使いすぎると、かえって別の型の頭痛が出て困ることになってしまうと言う問題もあったのです。ところが最近、頭痛の回数を減らして頓服の服用を減らすことの出来る新しい薬ミグシスが発売になっています。
また欧米では何年も前から頭痛が出てからの服用でも効果があるスマトリプタン系の特効薬が主流になっていて、日本での発売が長年、待たれていました。それがやっと発売となり片頭痛患者さんの間で大変な話題となっています。このスマトリプタン系のお薬として現在、レルパックス、ゾーミッグ、イミグランの3つのお薬が発売されています。
なお、片頭痛発作の方のうち、30%の方ではアルコールが発作を誘発すると言われ特に赤ワインによって起こる方が多い。その他、チョコレート、チーズ、味の素などにより誘発されることがあります。また、ぎらぎらした光や明るい光、映画やテレビの点滅する光などによって誘発される方もあって、夏にはサングラスを手放さない人もあります。なお月経周期と関連して生じる方もあります。なお、妊娠中は発作の頻度が減少することが知られています。
片頭痛のお薬
通常の頭痛薬(非ステロイド系消炎鎮痛剤:バファリン、セデス、ロキソニンなど)で頭痛が治る場合は、それを使います。偏頭痛の特効薬(頓服)としては、これまで酒石酸エルゴタミンと言うお薬が使われてきました。しかし、この薬は、頭痛がひどくなってからでは効果がなく、必ず頭痛発作の始まりの段階に飲まないといけません。また連用していますとクセになると言う問題がありました。それで、最近では、そのような欠点のないスマトリプタン系のお薬が使われるようになりました。スマトリプタン系のお薬には、現在、レルパックス、ゾーミッグ、イミグランと言う3種類のお薬があり、最も適したものを選びます。なお、この系統のお薬は狭心症などの動脈硬化性疾患方や妊娠中の方には使えません。
なお、偏頭痛では、頭痛発作が始まると、吐き気がして嘔吐する方が多く、せっかく飲んだお薬を吐いてしまうことがあります。それではお薬の効果が期待できませんので、吐き気止めのお薬をいっしょに飲んだ方が良いようです。 また、偏頭痛の発作が、週に2回以上起こる場合には、普段から毎日、飲んで頭痛発作を起こりにくくする偏頭痛予防薬を使います。ミグシスと言うお薬をまず使いますが、それでも効果のない方では、他にもいろいろ予防薬がありますので、それを試すことになります。
頭の神経痛
頭痛にもいろいろあって、「あなたの頭痛は神経痛です」と申し上げますと、「エッ、頭にも神経痛があるの?」とビックリされる方が多いのですが、頭にも神経痛があります。ところでおじいちゃん、おばあちゃんは手足が痛むたびに、「また神経痛が出た」とよくおっしゃっいます。ところが、これは「筋肉痛や関節痛」の場合がほとんどで、神経痛ではありません。神経痛とは、神経が刺激を受けたせいでビリッとした電撃的な痛みが走る場合を言います。例えば、どなたも肘のところで神経の通っている部分を打った時、手先に向かってビーンと痛みが走った経験があるでしょう。これが神経痛で、ズキッ、ズキズキッとか、ピリッ、ピリピリッなどと痛み、ビリッとした次の瞬間には痛みは止る特徴があります。つまり痛みの� ��く時間は実際は数秒間、このような短時間の痛みを繰り返して、だらだらと痛みが続くことはありません。そして痛みと痛みの間には、間欠期と言って必ず痛みの止っている時期があり、その間は、全く痛くないので患者さんはニコニコしていると言う特徴があります。顔面が痛むので有名な三叉神経痛、胸が痛む肋間神経痛も神経痛ですから、ずーっと痛むことはなくて、間を置いて短時間の痛みを繰り返すと言う特徴があります。ずーっと痛むのなら、別の病気を考えなくてはいけません。
さて頭の皮膚にも、皮膚の感覚に働いている神経が分布しています。そして髪の毛の生えているところを走っている何本かの神経をまとめて後頭神経と言います。この後頭神経に神経痛が起こりますと、後頭部や側頭部から頭頂部にかけピリッ、ピリッもしくはビリッ、ビリッとした痛みが間欠的に走ります。後頭神経は首の部分の脊髄から枝分れし出ていて、神経が頚椎の間を通り抜ける椎間孔と言う部分で圧迫されたり、神経が通る後頭部の筋肉で圧迫されたりして神経痛を起こすと考えられています。つまり、頭は痛いけれど、その原因は首にあると言う訳です。
なお、神経痛が起こるには、神経を刺激する何等かの原因が必ずあり、単に痛みだけが勝手に起こると言うことはありません。つまり痛みを抑えておけば良いのではなくて、その原因を確かめておくことが大切です。
顔面神経痛と三叉神経痛
顔面がゆがんでしまったとか、顔面が痛い時に、よく患者さんが「顔面神経痛になった」と言ってやってこられます。しかし顔面の半分が動かなくなってゆがむ病気は「顔面神経麻痺」と言う病気ですし、いずれにしても顔面神経痛と言う病気はありません(専門的になりますが非定型顔面神経痛と言う稀な病気はあります)。と言いますのは、顔面が痛い時、顔面の痛みなどの感覚に働いているのは三叉(さんさ)神経ですから、それを言うなら顔面神経痛ではなくて、三叉神経痛と言うことになります。ただし神経痛と言うのは、ズキッとか、ズキ、ズキッとか短時間痛んで、しばらく痛みが止ったかと思うと、また痛むと言う具合に、間を置いて痛む特徴があります。顔面がそのように痛めば、もちろん三叉神経痛ですが、多少の� ��はあってもズーッと長い時間、例えば1日中痛いなどと言うのは三叉神経痛ではありません。顔面がズーッと痛む原因で多いものとしては、蓄膿症(副鼻腔炎)などからくる痛みがあり、風邪の後に多くて、うつむくとよけいに痛んだりする特徴があります。
その他、注意しておかなければいけない顔面の痛みにヘルペス(帯状疱疹)によるものがあります。額(ヒタイ)の部分は、この帯状疱疹のよく起こる場所で、ブツブツとした発疹のでる何日か前から神経痛様の痛みが始ります。発疹が出てからでは、すぐに診断がつきますが、痛みだけあって発疹がない始めの時期では、ヘルペスかどうか分からないのです。しかし、このヘルペスはちゃんと治療しておかないと、後で帯状疱疹後神経痛と言って、一生、痛みで苦しむことになりますから、すぐに医師に相談しましょう。
三叉神経痛
顔面が痛む病気のうち代表的な病気です。顔面が痛む病気には三叉神経痛ばかりではなく、例えば蓄膿症や歯科疾患による痛み、あるいはヘルペスなど、他にもいろいろなものがあります。しかし、巷では何でも三叉神経痛と診断されてしまう傾向がみられます。
まず、代表的な72歳男性の場合を紹介しましょう。この患者さんは「右ヒタイの発作性の激しい痛みで困っている」と来院されました。始めは、62歳の時、ある日、急に右のヒタイに激しい痛みが走るようになって、それ以来、この痛みに悩まされていました。右ヒタイの痛みは発作性で急に起こり、右マブタの上に軽く触れるだけでもするどい痛みが走ります。痛みの持続時間は短いのですが、傷口をキリで突くような激しい痛みで、風が吹いたり、大声を出したり、物を飲み込んだり、マバタキをしたり、上を見ただけでも起こることがあります。痛みが始りますと洗顔、ヒゲ剃り、食事、歯磨きなどが出来ないぐらいでした。
結局、三叉神経痛には、次のような特徴があります。