2012年5月13日日曜日

高血圧の診断基準


高血圧の診断基準
循環器疾患について

  「高血圧の診断基準」
  従来、血圧の正常値は「収縮期血圧140未満、拡張期血圧90未満」で、高血圧は
 「収縮期血圧160以上、拡張期血圧95以上」でした。
 そしてその中間(140〜159/90〜94)を境界型高血圧と呼んでいました。そして、
 その後いろいろな研究が進み、従来考えられていたよりも血圧をもっと低い状態に
 保った方が、高血圧による合併症(脳卒中や心臓病など)を予防するのによいことが
 わかりました。
  その結果をふまえ、1999年2月、世界保健機関(WHO)と国際高血圧学会(ISH)
 による高血圧 の新しい治療ガイドラインが報告されました。この新しいガイドライン
 では、従来よりも降圧目標を低く設定しています。


       < 高血圧の定義と分類 >

分   類

収縮期血圧

 拡張期血圧

  理想的血圧

120未満

80未満

  正   常

130未満

85未満

  正常高値

130〜139

85〜89

  グレード1高血圧

140〜159

90〜99

  サブグループ:境界域

140〜149

90〜94

  グレード2高血圧

160〜179

100〜109


足のmusclurの痛み
  グレード3高血圧

 180以上

 110以上

  収縮期高血圧

  140以上

90未満

 サブグループ:境界域高血圧

140〜149

90未満


  収縮期血圧と拡張期血圧が異なる分類に入る場合は、高い方の分類を適用する。
 理想的血圧:高齢者の場合は、かえって血圧を低くしすぎると合併症
 (心臓病、脳卒中など)を起こす危険性が高くなるので、もう少し高めでも良いと
 考えられています。
 
 正常血圧:この値を超えた状態が続くと高血圧による合併症を起こす危険性が高く
      なると言われています。

 正常高値:高血圧の治療の目標は正常血圧以下とするのが基本ですが、高齢者の場
      合は、正常高値ぐらいでも良いとされています。

  高血圧:いくつかのグループに分かれていますが、これは合併症の危険因子の有
      無や高血圧による臓器障害や心血管合併症の有無などにより薬物治療を
      開始する時期などが異なるためです。

  高血圧は心血管疾患の主要な危険因子ですが、高血圧以外にも次のようなものが
  あります。
   1)喫煙
   2)高脂血症
   3)糖尿病
   4)肥満
   5)心血管疾患の家族歴(血のつながっている家族に脳卒中や心筋梗塞や
     狭心症などを起こした人がいること)
   6)加齢
   7)その他
 
  高血圧による臓器障害は次のようなものがあります。
   1)左室肥大(心電図や心エコーなどで診断)
   2)心疾患(心不全や心筋梗塞や狭心症など)
   3)脳血管障害(脳梗塞や脳出血やクモ膜下出血など)
   4)腎機能障害(蛋白尿や血液検査などで診断)
   5)網膜症(高血圧による眼底の網膜の病変)
   6)末梢血管障害(閉塞性動脈硬化症など)
   7)その他


intermitent発熱とswet

  同じ血圧でもこのような危険因子を持つ人、持たない人では合併症を引き起こす
 危険性が異なります。また、軽症の高血圧でもすでに臓器障害が起きている人もい
 ます。この新しい高血圧治療ガイドラインによれば、これらの危険因子や臓器障害
 などを持っている患者さんによっては、グレード1のような高血圧のより軽い段階
 からしっかりと治療することを勧めています。
 
  特に糖尿病の患者さんはグレード1の軽症の時から薬を使い血圧をコントロール
 する必要性を示しています。ただ、このガイドラインは治療の一つの目安であり、
 絶対的なものではありません。
 
  高血圧の治療の目的は単に血圧の値を下げることではなく、それぞれの患者さん
 に応じて、高血圧によって引き起こされる合併症を予防することです。
 
  高血圧と診断するには、日をかえて複数回安静坐位の状態で血圧を測定して判定
 する必要があります。1回の測定で血圧が高くても、すぐに薬が必要というわけで
 はありません。
 また、高血圧の薬は多くの種類があり、どれも皆同じではありません。患者さんの
 状態にあった薬が処方されます。(例えば、気管支喘息の患者さんに使ってはいけ
 ない降圧剤があります。狭心症の患者さんは、狭心症のタイプによって降圧剤も変
 わってきます。)
 また、患者さんの体質によっても、あう薬やあわない薬もあります。
 
 高血圧の患者さんは、かかりつけ医の診察をしっかり受けて血圧の値だけでなく、
 全身状態を評価してもらってください。


「血圧の謎」

  みなさんは、こんな疑問を持ったことはないでしょうか?高血圧で通院している人
 なら経験したことがあると思いますが、病院に行く前に自宅で血圧を測ったときは
 142/76だったのに、病院で測ると174/94もあったとか・・・。
 普段は血圧が正常なはずなのに病院で測るといつも160/90以上あるとか・・。

  このようなことは、実際の診療の場では非常によくあることなのです。どの血圧も
 間違っているわけではありませんし、血圧計が壊れているわけでもありません。
 実は、血圧は常に一定しているものではなく常に変動しているのです。

  血圧を左右している因子にはどんなものがあるのでしょうか? 
 皆さんもよくご存じのように、怒ったり悲しんだりする感情の起伏や、ストレス、
 運動、環境の変化につれて変動します。少しまとめてみましょう。

体位


沸騰の連鎖球菌
 血圧も重力による影響を受けます。
 臥位、坐位、立位の順に低下して、最低血圧は逆に少し高くなります。 

体格

 普通の測定方法では、若干ですが腕の太い人は高く、
 細い人は低く測定される傾向があります。

 一般に女性は男性よりやや低い傾向があります。

日差

 夜間睡眠中が最も低く、昼間就業中は高くなります。

気温・季節

 暖かいと降下し、寒いと上昇します。夏はやや低く冬はやや高くなります。

入浴

 適温ならば入浴中やや降下します。
 ただし、脱衣場が寒いときは上昇することがあります。

食事

 食後60分ぐらいの間、最高血圧がやや上昇します。

精神的興奮

 激しい情動の変化によって上昇します。

運動

 一般に運動により最高血圧の上昇がみられ、最低血圧は不変か、やや降下します。

年齢

 高齢になるほど動脈硬化が進むなどの要因によって、高くなって行く傾向があります。

  このように血圧に影響する因子はたくさんあります。
 ですから、一度血圧を測ってそれが高くても心配することはありません。

  血圧を測定するときに一番大切なことは、とにかく安静にしてリラックスすると
 いうことです。高くても2〜3分してから深呼吸するなどしてリラックスして測ると
 低くなっていることが結構多いものです。特に、病院に行くと緊張しやすい人は
 リラックスするように心がけてください。

  また、風邪をひいたり、体調が悪いときは、身体にストレスがかかった状態となって
 いますので、血圧が多少高くなるのは仕方のないことです。そんなときはかぜが治って
 体調が良くなってから日を変えて血圧を測ってみてください。


  血圧を一度測っただけで高いからといって血圧を下げる薬を飲み始めるのは危険な
 ことです。高血圧があっても、自覚症状がなく無症状のことがほとんどです。
 しかし、血圧が高いのに自覚症状がないからといって放置することは極めて危険です。
 また、確かに体調が悪いと、血圧が高くなっていることが多いですが、血圧を測らずに
 自覚症状だけで血圧が高くなっていると判断することも危険です。


  「高血圧の治療の意義」

  「血圧が高い」と言われているのに、別にどこも悪くないからといって放っている人は
 いませんか? 血圧が高いのは年のせいだといって、治療しないでいる人はいませんか?
 血圧の薬をもらっても、自分の判断で適当にのんだりのまなかったりしている人はいませんか?
 そこで今回は、高血圧はどうして治療しなければいけないのか… その意味を説明します。

  まず、高血圧の症状について説明します。一般的によく知られている主な症状に、
 頭痛・肩こり・めまい・不眠・手足のしびれ等がありますが、高血圧に特有のものはなく、
 また、実際は無症状のことがほとんどです。この無症状というのがくせもので、痛くもかゆくも
 ないから「まあ、いいや」と思ってしまい、ついつい病院に行かずに放っておく場合があるようです。

 それでは、症状がないのに、なぜ治療しないといけないのでしょうか? 
  それは、高血圧によって引き起こされる種々の合併症(がっぺいしょう)を予防することが、
 治療の目的であるからです。

  合併症の主なものに、
 ●脳卒中(のうそっちゅう)すなわち脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血等、
 ●心臓病すなわち狭心症・心筋梗塞等、腎不全、その他
 があり、これらは高血圧の状態が長く続くことによって起こり、しばしば命を脅かすものと
 なります。
 高血圧の治療の意義すなわち目的は、単に血圧の値を下げるためだけのものではなく、
 命にかかわる重大な合併症を予防することです。

  次に、薬について知っておいてほしいことがあります。
  高血圧の薬には、多くの種類があります。薬によって、作用の仕方(効き方)や持続時間
 (効く時間の長さ)や強さや副作用等に違いがあります。
 例えば、脈拍が速くなる薬もありますし、逆に遅くなる薬もあります。尿がよく出る薬もあります。
 人によってあう薬とあわない薬がありますので、あわないからといってすぐに病院を変える
 のではなく、医師と相談の上、自分に一番あった薬を処方してもらってください。


 



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