8th Scientific Symposium in Fukuoka:肺高血圧の10年を振り返る
What's up?
8th Scientific Symposium in Fukuokaに参加してきました。毎年開催されている肺高血圧に関するシンポジウムです。今回はこの10年間における肺高血圧治療の進歩と将来展望についての講演でした。ここで学んだ点をまとめると以下の通りです。
■肺高血圧症の臨床分類は2008年のDana Point分類というのが最新の分類。
■Dana pointというのは4th World Symposium on Pulmonary Hypertensionが開催された場所でアメリカのカリフォルニアにあります。
■肺高血圧症の診断基準値:平均肺動脈圧25mmHg以上が肺高血圧
■平均肺動脈圧21-24mmhgは「ボーダーライン」。
■従来肺高血圧の定義に用いられていた運動負荷時の平均肺動脈圧は今回は診断基準から削除。
■肺高血圧はその原因により以下のように分類
1. 肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary Arterial Hypertension : PAH)
1.1. 特発性(Idiopathic Pulmonary Arterial Hypertension : IPAH)
1.2. 遺伝性(Heritable)
1.2.1. BMPR2
減量式の薬を飲んでいるときに飲むことができます
1.2.2. ALK1, endoglin (with or without hereditary hemorrhage telangiectasia)
1.2.3. 不明(Unknown)
1.3. 〜 1.5. (略)
1'.肺静脈閉塞性疾患/肺毛細血管腫症(Pulmonary veno-occlusive disease:PVOD/Pulmonary capillary hemangiomatosis:PCH)
2. 左心疾患による肺高血圧症(PH owing to left heart diesease)
3. 呼吸器疾患および/または低酸素血症による肺高血圧症(PH owing to lung disease and/or hypoxemia)
4. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic Thromboembolic Pulmonary hypertension : CTEPH)
5. 原因不明および/または複合的要因による肺高血圧症(PH with unclear multifactorial mechanisms)
5.1. 〜5.4. (略)
■ESC/ERSのガイドライン「Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension」が2009年に発表されている。
■日本のガイドラインは2006年に発表されている。
■膠原病に合併する肺高血圧に関して、
■最も多いのはSSc(Systemic Sclerosis)で、その13-16%に肺高血圧を合併。
かゆみ、皮膚や吐き気
■心エコー図により肺高血圧の有無をスクリーニングするが、初診時に肺高血圧を認めなくても、DLCO%が低下してきたり、FVC/DLCO > 1.8となった例では肺高血圧を合併してきている可能性が高い。
■SLEに合併する肺高血圧の予後は不良である(特発性肺高血圧例の3年生存率は73%、5年生存率が68%であるのに比して、SLEに合併する肺高血圧の3年生存率は45%、5年生存率は17%である)。
■治療について
.┘鵐疋札螢鷦容体拮抗薬(ボセンタン[商品名:トラクリア, アンブリセンタン[商品名:ヴォリブリス])
PDE5阻害薬(シルデナフィル[商品名:レバチオ]やタダラフィル[商品名:アドシルカ])
プロスタグランジン誘導体製剤(ベラプロストナトリウム[商品名:ベラサスLA)、の3系統に作用する薬を早期から積極的に併用する傾向にある。(単剤の効果はせいぜい平均肺動脈圧を-5mmHg下げる程度に過ぎない。)
深刻な首の痛みと吐き気
■ドイツのMarius M. Hoeper先生によると、どんなに右室が拡大して、右心機能が低下していても肺移植後にはかならず右心機能は改善する!→心肺同時移植でなくてもよいということか?
■CTEPHでは保存的治療の前に、まず外科治療「肺動脈血栓内膜摘除術」を考慮すべしとの意見有り。
■エンドセリン受容体拮抗薬について
■ボセンタンはエンドセリン受容体のうち、ETA受容体とETB受容体のいずれにも作用する。
■アンブリセンタン(Ambrisentan、商品名:ヴォリブリス)はETA受容体のみに作用。
■ボセンタンはタクロリムスとの併用は禁忌だが、アンブリセンタンは禁忌ではない。 →タクロリムス内服中のためボセンタンが使用できなくても、アンブリセンタンは使用できるので考慮すべし。
■ETA受容体は肺高血圧と関係している、ETB受容体は線維化と関連している可能性あり→膠原病関連肺高血圧(CTD-PAH)にはボセンタンのほうがよいという意見もある。
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